退職世代もつみたてNISA 投資未経験でも不安少なく

【1月18日(木) 今日のマーケットニュース】

今年(2018年)から従来の少額投資非課税制度(NISA)に加えて、新たに「つみたてNISA」が登場しました。同じNISAという名前であっても、この両者はかなり違う仕組みになっています。

つみたてNISAは積み立て型のNISAで、運用益や分配金に対する非課税の投資額の上限は年間40万円と、従来のNISAに比べると3分の1です。一方、非課税の期間は最長20年と、こちらはNISAの4倍となっています。長期投資を優遇する内容であることから、若い人が資産形成するのに向いた制度とされています。

それはその通りなのですが、だからといって定年退職したシニアの人たちにつみたてNISAは全く無縁のものではありません。リタイア世代にとってもつみたてNISAは意外と使い勝手がいいのです。

■若い人は投資に回せるお金が限られる

そもそも、投資上限の40万円は月額にすれば3万3000円ほどになります。若い人で毎月の収入からこれだけの金額を投資に回せる人はそれほど多くはいないでしょう。自宅暮らしをしていれば別ですが、仮に手取り20万円としてもひとり暮らししている人は家賃も光熱費もかかるでしょうから、投資に回せるお金は限られるでしょう。

最近では100円などごく少額で投資信託を購入できるようになっています。つみたてNISAでも上限いっぱいで始める必要はありませんが、将来の資産形成を目指すのであれば毎月1000円程度ではそれほど大きな金額にはなりません。やはりそれなりの意識と覚悟を持って積み立てを始める必要があります。

その点、リタイア世代はどうでしょう。生活に余裕があれば月3万3000円ほどを投資に回すのは難しくないのではないでしょうか。老後資金のすべてをほとんど利息を生まない預貯金にしておくよりは、少しでも運用するのが合理的です。つみたてNISAはその強い味方になってくれるはずです。

私は定年退職者にとって、つみたてNISAの効用は2つあると思っています。まず1つ目は「購買力の維持」です。多くの人が誤解しているのですが、退職した高齢者にとって大切なのは「お金」そのものではなく、「購買力」なのです。いくらお金を持っていても、将来インフレ(物価上昇)が起こった場合、お金の価値は目減りし、物に対する購買力も低下します。

年金のようなフローの収入は、インフレ時には給付額が増えるなど、ある程度物価上昇にも対応できる仕組みになっています。しかし、自分が持っている資産にはそんな仕組みはないので、インフレが起きた場合モロに影響を受けます。物価が上がれば元本が増える個人向けの「物価連動国債」を買って購買力を維持するという方法がありますが、それでもいくらかを株式投資信託などに回し、資産の積み増しを図るのは悪いことではないでしょう。

そこで力を発揮するのがつみたてNISAです。最近のように株価が上昇しているときに一度にまとまったお金を投資するのは不安です。株価が下がれば大きな含み損を抱えかねないからです。でも、つみたてNISAは定時定額で少額をコツコツ積み立てていくわけですから、時間分散効果で高値づかみのリスクは軽減されます。つみたてNISAでは国内株の投信はもちろん、海外株の投信も購入できますので、グローバルな分散投資が容易なのも利点です。

■金融知識がない高齢層にも比較的不安は少ない

2つ目の効用はつみたてNISAの商品性です。現役時代から投資の経験を持っている人であればともかく、退職して何も金融知識のない人がいきなり投資を始めるのは危険です。十分理解しないまま、複雑で手数料の高い投信を金融機関の勧めるままに買ってしまう人が少なくありません。

ところが、つみたてNISAの場合、そんな心配はありません。あらかじめ金融庁が一定の条件の下、手数料が安い投信を選んだからです。もちろん、金融庁のお墨付きがあれば必ずもうかるわけではありませんが、少なくとも手数料の高い投信は除かれましたので、投資未経験の高齢層にとっては比較的不安が少ないと考えていいでしょう。

このように、シニアの人たちにとってもつみたてNISAは利用価値のある制度です。投資に対する偏見やステレオタイプな思考は捨てて、つみたてNISAの活用を検討してみてはいかがでしょうか。老後資金づくりに必ず役立つと思います。

執筆者:コンサルティング事業部

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