個人投資家の6割超、運用成績プラスに。17年の株高で 企業業績が堅調、利益確定急ぎすぎた人も

【1月19日(金) 今日のマーケットニュース】

北朝鮮情勢などの地政学リスクが意識されつつも、堅調な企業業績を背景に日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を更新するなど株式市場が活況を呈した2017年。個人投資家の6割超が運用成績でプラスだったようだ。

「17年は世界の市場環境が良くできすぎだった。この運用成績を基準にしないよう自分を戒めたい」。日本株の投資歴が20年になる大阪府の会社員Kさん(46)。今年は日本たばこ産業(JT)や三菱重工業、ヤマトホールディングス、NTTドコモなど大型株を中心に投資したところ、全体で10%程度、資産を増やした。
16年までは運用資産の5割を日本株、残りの5割を国内外の株式や債券のインデックス投資信託に振り向けていたが、日本企業が18年3月期の業績予想を相次いで上方修正するニュースを見て、日本株の比率を6割まで増やした。「新たに買った銘柄が軒並み値上がりした」という。
 
17年の株式市場は世界景気の拡大と金融緩和が続くなか、日経平均株価が16年末から約19%上昇、上期は米トランプ政権の混乱や北朝鮮情勢への不安が高まり上値が重い展開だったが、6月2日に2万円を突破。秋口から本格的な上昇基調が始まり、10月には16営業日続伸を記録した。

■ 性急な利益確定も
日経生活モニターに登録した読者に12月上旬にかけてアンケート調査をしたところ(回答者691人)、運用資産全体で17年に成績がプラスとなった人の比率は61%、16年(43%)、15年(54%)を上回った。最も多かったのは「10%未満のプラス」(26%)だが、「プラスマイナスゼロ」という人も25%いた。マイナスだった人は8%にとどまった。
ピクテ投信投資顧問の松元浩・常務執行役員は17年の株式相場を「企業の稼ぐ力が思った以上に強く、多くのリスク要因に勝った年」と振り返る。内外の株価上昇に次いで「北朝鮮問題」「企業の相次ぐ不祥事」などネガティブなニュースが上位に、「地政学リスクを意識しすぎた人は、上昇基調に乗り切れなかったのではないか」と分析する。

実際、個人投資家からはプラスの運用成績を確保しながらも、自らの投資行動を後悔する声も多く聞かれた。埼玉県の会社員の女性Fさん(41)は食品やレストラン、ホテル株などを中心に運用し、全体で20%近いプラスとなった。
ただ「利益確定を急ぎすぎてしまった」と悔やむ銘柄もある。例えば3年前に約6000円で買った日清食品ホールディングス株。11月に7900円ほどで売却した後、みるみる値上がりし、半月ほどで8300円を超えた。
相場は予測通りには動かない。相場格言の「もうはまだなり、まだはもうなり」を「痛感した」と奈良県の女性(77)。同様のコメントをした人が多かった。

厳格な投資ルールを実践する行動が裏目に出た人もいた。15年以上の日本株投資歴を持つ千葉県の会社員、大野芳政さん(37)は、買値を4%下回った銘柄を機械的に損切りするルールを徹底して安定的な利益を得てきた。しかし17年は損切りした銘柄の多くがその後、急上昇した。
17年は米国を中心に世界の株式市場も好調だった。兵庫県のパートOさん(54)は今年50%を超える運用益を得た。16年末に不動産投資信託(REIT)を値下がり直前で売り抜け、その資金をアセットマネジメントOneの「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド」に投じた。
同投信の組み入れ比率は米国株が48%。次いで中国、英国などの株式を中心に運用する。この1年で約40%上昇した(11月30日時点)。米国株に投資した神奈川県の会社員Hさん(48)も、17年の運用益は50%を超えたという。

■ 外貨運用振るわず
一方、存在感が薄かったのが外貨運用だ。兵庫県の主婦(65)は「1ドル=105円台まで円高になったらドルを買おうとしたが、思ったより値動きがなかった」と話す。今年の円ドル相場は値幅10円程度と動きの小さな1年だった。
17年に運用した商品(グラフC)で6位に入ったREITも分配金引き下げの流れなどを受け、年初から下落基調が続いた。千葉県の会社員の女性(49)は「売るタイミングを逃し、ずるずると下がってしまった」と悔やむ。
18年1月に始まる積み立て方式の少額投資非課税制度(つみたてNISA)について聞いたところ、41%が「NISA口座を持っているが、つみたてNISAには切り替えない」と回答。「つみたてNISAに切り替える」「つみたてNISA口座をつくりたい」と回答した人の比率は11%にとどまった。「非課税枠が小さすぎる」(東京都の男性、58)、「インデックス投信ばかりで縛りが多すぎる」(兵庫県の男性、76)といった声が聞かれた。

18年はどのような年になるのか。カギを握るのは米国景気だとする専門家は多い。リーマン危機後の09年6月に始まった米国景気の拡大はすでに102カ月続いていて、過去3番目の長さとなった。「減税効果が期待外れだった場合は景気減退リスクとなり、世界経済に影響を与える」米国や欧州の金利上昇が経済に与える影響にも注意が必要だろう。
戌(いぬ)年の相場格言は「戌笑い」。格言通り、18年は投資家の笑顔を見られるだろうか。

引用記事:日経電子版

執筆者:コンサルティング事業部 

●日経平均株価:23,831.92 +68.55(19日9:45)
●NYダウ:26,017.81 ‐97.84(18日 終値)
●米ドル/円:110.98 ユーロ/円:135.87(19日 9:25)


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