契約金1億円の「元ドラ1」戦力外・・残りの人生いくら稼げばいい?

【12月4日(月)今日のマーケットニュース】

清宮幸太郎選手をはじめ、将来のスター候補が指名されたプロ野球のドラフト会議。入る者がいれば、当然去る者が出てくるわけで、今年もかつての「ドラ1」らに戦力外通告の嵐が吹き荒れた。

球団や経歴にもよるが、ドラ1の場合、契約金は1億円、年俸は1500万円で結ばれることが多いようだ。しかし、気になるのは税金。額面上のトータルは一緒でも、稼ぎ方によって手取りは大きく変わってくる可能性がある。加えて、スポーツ選手はセカンドキャリアの難しさも指摘されている。

果たして、鳴かず飛ばずに終わってしまった場合、ドラ1選手は残りどのくらい稼げば平均生涯年収に達するのだろうか。

●ドラ1なら3年で解雇されても手取りは、8700万円ほどの計算

ーー契約金や年俸には、どのくらいの税金がかかる?

プロ野球のドラフトで指名されて契約金や年俸をもらうと、個人事業主として所得税がかかります。正確には住民税もかかるのですが、ここでは所得税の話だけにしておきましょう。

契約金の税区分は「雑所得」、年俸は「事業所得」と考えられます。1年目の契約金が1億円で年俸1500万円の場合は、ざっと4800万円近い所得税がかかります。

仮に2年目の年収が1200万円なら所得税は235万円、3年目の年収が960万円なら153万円になります。1年目の4800万円と比べて、税額に大きな差が出ますよね(必要経費は無視して計算)。

この差を調整するために、平均課税制度というものがあります。簡単に言うと、一時的に多額な所得があった人は税金の負担が重すぎるので緩和しましょう、という制度です。

概算で契約金が1億円の場合、通常は4087万円かかる税金が、平均課税制度を使うと4000万円で済みます。金銭感覚がおかしくなりそうですが、87万円節税できます。

ーー経費はどうなるの?

個人事業主なので、さまざまなものが経費として認められます。たとえば、職人による特注バッドやグローブといった道具類、ボールなどを選手自ら購入すれば経費として認められます。ただし、バッドやグローブにかかる費用が球団持ちのケースなどもあるようです。

また1月になれば、自主トレーニングの様子がメディアを賑わします。このときの交通費や宿泊費も経費です。プロ野球選手としての体力・技術を向上させること、より簡単にいうと年俸を上げるのに必要な費用だからです。またトレーナーやマッサージなどの裏方支援をしてくれる人を雇った場合も費用として認められます。

余談ですが、サラリーマンの場合は、実際に使ったかどうかにかかわらず、あらかじめ一定額が経費として設定されています(給与所得控除)。たとえば年収600万円の場合は、174万円が経費です。現実的には、使い切るのが大変な額だと思います。

ーーでは、ドラ1で入団して、鳴かず飛ばずで終わった場合、手取りはどのくらいになる?

上記のモデル例だと、契約金1億円、年俸1500万円→1200万円→960万円で引退となります。仮にサラリーマンの「給与所得控除額」相当の経費、今回は年間220万円を使ったとすると、手取りは約8700万円です。実際には住民税などもかかるので、もっと手取りは減ります。

なお、参考までに厚労省の「賃金構造基本統計調査」(2016)からざっと計算すると、高卒で48歳くらいまで働いて、手取り8700万円になります

ーーこの辺りは統計の数字にもよりそうだが、数年で解雇された場合は、まだまだ働かないとならないようだ。契約金が安くなる、ドラフト2位以下ならなおさらだろう。

確かに、夢のある世界ですが、現実にはプロ野球で成功する人はほんの一握りであり、ドラフト1位だからといって、成功するとは限りません。選手へ『将来に不安がありますか?』との質問に対して8割近くの選手が”不安”と答えたそうです。

億を稼ぐ選手がいる一方で、毎年120人から130人のプロ野球選手の戦力外通告が行われています。戦力外となり引退された選手の第二の人生がうまくいくことを期待しています。

執筆者:コンサルティング事業部 猪之鼻

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